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久井諒子『ダンジョン飯』1巻の感想

ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス)

ダンジョン最深部に妹でもあるギルドメンバーを残したまま地上に帰ってきてしまい、救出に戻りたいが路銀に欠けるためモンスターを調理することで食費を節約する、その調理の漫画。

九井諒子のグルメファンタジー「ダンジョン飯」1巻、モンスターを美味しく料理 - コミックナタリー ←試し読み画像あります

 

科学と幻想の二枚使いによる、とにかく細かい生体描写

人間で言うと胃がひっくり返って消化液で内蔵と頭を包んでいるのだな

 スライムの構造紹介といえばたいてい「液状生命体(コアあり)」が関の山ですが、この漫画ではあのドロドロを消化液としてしまって、肺と脳、生殖巣や肛門まであるとされています。

モンスターを食材として扱うということはつまり、モンスターを生物、有機体として扱うということです。このスライムの例のように、調理に入る前にモンスター(有機体)の組織についての説明が毎度入るのですが、これが謎の説得力をたたえています。

幻想的な機微だけでなく、味とか匂い、からだの構造などといった生活的だったり専門的だったりな部分まで丁寧に扱おうとするところに、ちょっとした自然科学的な欲望を私は感じます。ゆえの細やかさと、説得力。

 

落ち着きと、ユーモア

また、久井諒子の漫画のテンションは独特で、ある種の温度の低さみたいなものがあります。演出が一歩引いているというかんじ。

今作は設定もあってその落ち着きがさらに強調されています。というのは、舞台設定がダンジョン探索なので、死んでも蘇生魔法で復活できるので、「死」すらもたいして物語を突き動かす出来事にならず、テンションが落ち着いている。

最深部で妹は竜にかじられていてそれが今回の探索の理由なのですが、そういう設定なのでそこにもあんまし緊迫感はありません。ただそこに「ダンジョン飯を食ってみたい」という主人公の欲望が唯一のテンションとして導入されていて、それがなんだか笑える。

 

 

ダンジョン飯 1巻

ダンジョン飯 1巻