あながち

感想ブログとなるのか、どうか?

今井哲也『ハックス!』1巻の感想、のりうつるエネルギー、のりうつられない人。

 

ハックス!(1)

新入生歓迎会の部活説明でアニメ部の上映を見て衝撃を受けてそのままアニメを作りはじめてしまう女の子と、そのまわりの人たちの話。

 

シンプルであることの、異常さ

すごいアニメを見て受け取ったエネルギーを主人公はアニメを作ることに向けます。

とてもシンプルな動機。

でも、この作品はそのシンプルな姿勢がその極端なシンプルさゆえに特殊で、そのせいで周囲を混乱させるものとして描ききっていて、そのうえで「でも、私たちが感じているものは、それだろう」と、押し付けがましくなく表明してるように見えます。

作品には分解してわかる情報だけでないなにかが込められている。それを私たちは受け取る。そしてそれがなんだったのか、どうすればいいのか、やってみる。込められたエネルギーがそのまま、端末を乗り換えて運動に転化する。

 

運動しない人のこと

私は「シンプルさをもたず皮肉ばかりを言っているキャラクター」に感情移入してしまいます。制作に参加しない人です。こういう感想ブログなんかやっている身として、身に覚えがないわけがない。そういう人がこの漫画には出てきます。

そういう臆病な人が、シンプルに伝達されていくエネルギーの周りにいて、その人はなんの役にも立たず、エネルギーを運動に起こすことをしなくて、でもそういう人がいるというのを描いているこの作品です。でもそういう人に対して、説教くさくならないのです。もちろん肯定的に描くこともないけど、どっちが上とかではない。

過剰なシンプルの発生を作品世界の戸惑いとともに描いているのと、そういう運動しない人がただいるってことをしっかりと描いているの、言葉が偉そうになってアレなのですが、誠実だ、と思いました。

 

ハックス!(1)

ハックス!(1)