あながち

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今井哲也『ハックス!』4巻感想、弱いけど華麗な逆説。

ハックス!(4) <完> (アフタヌーンKC)

あー終わった。ちょうおもしろいです。

 

三山さん!

いっちばん好きなキャラクターです。彼がいなかったら、ぜんぜん別の作品だったと思います。

三山さんは電脳研究会所属でアニ研ではないのですが出入りだけしていて、あんましちゃんと作業に参加しないという人です。ぐんぐん動いていくみよしを見て、どんどん動けなくなっちゃう。でもそういう彼を、駄目だーというふうにみよしもこの作品も裁きません。駄目だと思っているのは三山さん自身で、でもどうにもならない。イライラして壁を蹴って、自分がいたい。

働き蟻がたくさんいると何割かは絶対に怠けるとよくいいますが、それは生き物のなかにそういうのが埋め込まれてるってことだと思います。悪徳なのは間違いないですが、単純に否定すればいいというものじゃない。そしてアニメは「みんな」で作るものですし、舞台は高校だし。

 

魂が乗り移らないのが三山さんです。三山さんにエネルギーは届いているかもしれないけど、というか彼のモノローグを見る限り届いてはいるのだけど、それがなんでかうまく動かない。『ハックス!』は魂が動く=アニマ=アニメの作品ですが、そこには確実にその魂が実は死んでいるのかもしれない、いまは生きてるかもしれないけど、いつ動かなくなるかわからないという三山さん的な倦怠感が常に見えない形でつきまとってます。

 

でも、それでも、楽しいと思うほうへ、魂が向いていると思われるほうへ行こう。

これは逆説で、レトリックで、大きな力に比べてしまえばとても頼りないものかもしれないけれど、そう言い続けよう。この逆説を、たんじゅんな「楽しければいいじゃん」という力強いけれど安直なキャッチフレーズではなく、弱々しいけど華麗なレトリックへと変身させた人こそ、三山さんなんだ、と私は思うのです。

 

三山さんはウザがるでしょうが。

 

ハックス!(4) <完> (アフタヌーンKC)

ハックス!(4) <完> (アフタヌーンKC)