あながち

感想ブログとなるのか、どうか?

西研『ニーチェ ツァラトゥストラ』の感想

NHK「100分de名著」ブックス ニーチェ ツァラトゥストラ NHK「100分de名著」ブックス


ニーチェの主著のひとつである『ツァラトゥストラ』がいくつかの章に分割して説明されていく本です。たぶんに自己啓発的に使用され、あるときはナチスにも利用されたニーチェですが、西研がどう扱っていくのか、興味深く読みました。

西研は文中でなんどか「尋ねあい」の重要性を指摘していて、一見するとニーチェとはかけ離れたテーマなのですが、わたしはここが本書のキモと思っています。「超人」を徹底して悦びを求めるものとして扱うことで、この言葉につきまといがちな孤立の印象を払拭していく。

一方で「孤独」というのはニーチェを読む上で重要なエッセンスでもあり、もちろん西研はこれをおざなりにするわけではありません。西研は悦びのためには「自分が何を欲しているか静かに問う」こともまた重要だと書いていて、この問いの背後には「自分が何を求めているかわからない」という、孤独の極地に立つものに襲い来るとても重たい苦しみがあります。

そしてこの問いに立ち向かうためにこそ、言葉と他人、つまり「尋ねあい」が必要だという。バンドにおけるセッションの例がなんどか出されますが、とても納得しやすいロジックです。

ニーチェの読解というよりは、ニーチェの使い方の一例というふうによみました。